電子機器製品を保護するための研究

私たちの身の回りの電子機器は、各種の電子デバイスで構成されています。センサーや通信モジュールは、エッジデバイスと呼ばれて、社会を支える重要な役割を担っています。

電子デバイスには、演算処理のためのICチップ、センシングのための回路素子、プログラムやデータを格納するためのメモリチップ等があります。特に、ICチップやメモリチップは、シリコンウェハの上に集積回路を構成してチップ化し、ベアチップを樹脂でパッケージングした半導体デバイスです(図5)。

半導体デバイスは、外部接続端子を通じて基板上の配線または基板内の配線と接続しています。半導体デバイスが、リバース・エンジニアリングされると、内部に格納した機密情報をもとに製品を模倣改造される恐れがあります(図6)。

模倣品や改造品が、正規品を駆逐して市場を席巻する問題は、すでに看過できない状況です。安価に複製改造された製品が、利用者や環境に被害をもたらす危険性もあります。

本研究では、高額な設備投資や高度な加工技術を前提としない後付け加工技術、基板設計技術、回路設計技術、環境耐性評価技術を組み合わせて、セキュリティデバイスSS-AID(エスエス・エイド)を開発しています。

SS-AIDは、電子機器の電子基板に実装します(図7)。なるべく多くの電子機器を適用対象とするために、後付け加工で利用できるように設計されています。SS-AIDは、ICチップやメモリチップ等の保護対象部位への物理的な干渉を検知すると、セキュリティ機能が作動して、電子機器を情報漏洩の脅威から保護します。本研究は、ハードウェアセキュリティ技術とスモールデータ細粒度解析技術を融合した応用研究です。この研究では、利用シーンに応じたコストコンシャスなリバース・エンジニアリング対策技術を目指しています。また、技術を安定提供するための枠組みも開発しています。

本研究は、現在、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて研究開発しています。

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