ヘルスケアサービスなどへの応用に適した高機能検索暗号に関する研究

ヘルスケアサービスなどへの応用に適した高機能暗号技術の研究を推進しています。
特に,個人のプライバシを保護しつつ,データ処理や検索が可能であるような暗号技術開発に向けて,研究に取り組んでいます。

近年の技術の進展に伴い、巨大なデータに処理を施し、そこから有用な知見を引き出すことが可能になってきました。特に、個人の健康情報やゲノムデータなどを扱うことが可能になれば、医療技術等の著しい進展が期待できます。一方で、これらの情報は極めて重要な個人情報であり、漏えいした場合には甚大な被害が想定されます。したがって、暗号化などの手段によって、情報を適切に秘匿することが必要です。しかしながら、従来の暗号技術においては、情報を暗号化したまま情報処理を行うことは不可能であり、上記のような応用には適しません。

そこで、暗号化した状態でも高度なデータ処理を行うことを可能であるような暗号技術の研究を行っています。具体的な成果としては、暗号化した状態で、ユークリッド距離に基づく類似情報を検索することができる暗号技術方式を提案しました。また、情報セキュリティに関する国内シンポジウムSCIS2016において本成果を発表しました。

(本研究は、パナソニック株式会社と共同で推進しています)

論文リスト

  • 「追跡が可能な内積述語に関する検索可能暗号」,西田 直央,海上 勇二,山田 翔太,アッタラパドゥン ナッタポン,松田 隆宏,花岡 悟一郎. 2017年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2017), 沖縄, 2017.1
  • Yuji Unagami, Natsume Matsuzaki, Shota Yamada, Nuttapong Attrapadung, Takahiro Matsuda, Goichiro Hanaoka, Private Similarity Searchable Encryption for Euclidian Distance, Proc. of ISITA 2016, pp. 718-722, 2016.
  • 「類似検索可能暗号を用いたプライバシ保護システムの考察」,松崎なつめ,海上勇二,山田翔太,アッタラパドゥン・ナッタポン,松田隆宏,花岡悟一郎.2016年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2016), 熊本, 2016.1
  • 「ユークリッド距離に基づく類似検索可能暗号」,海上勇二,松崎なつめ,山田翔太,アッタラパドゥン・ナッタポン,松田隆宏,花岡悟一郎.2016年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2016), 熊本, 2016.1
  • Hiromasa Kitai, Jason Paul Cruz, Naoto Yanai, Naohisa Nishida, Tatsumi Oba, Yuji Unagami, Tadanori Teruya, Nuttapong Attrapadung, Takahiro Matsuda, Goichiro Hanaoka: MOBIUS: Model-Oblivious Binarized Neural Networks. IEEE Access 7: 139021-139034 (2019)