研究グループ紹介
高機能暗号研究グループ
大規模クラウドのような複雑な情報システムの進歩により、それに適した新しい暗号技術が求められています。特に、暗号化したままでのデータ処理、暗号文の各々を復号できる利用者範囲の簡単な設定、利用者のプライバシーを保護したままでの利用者認証などの機能が望まれています。高機能暗号研究グループでは、このような高度な要求に応える高機能暗号技術の実現に取り組んでいます。また、実用的な暗号技術には、現代最高の情報処理技術を結集してもなお解読できないほどの高い安全性が求められています。本研究グループでは、世の中で使われているものや現在研究中のものなど幅広い暗号技術の安全性を分析し、数学的な安全性証明を与えたり、安全でない場合には具体的な欠陥をいち早く指摘して設計の修正を促すための研究を行っています。
セキュアプラットフォーム研究グループ
私たちの研究グループは、様々なプラットフォームやシステムにおけるプライバシー及びセキュリティを保護するため、新しい暗号技術の研究を行っています。私たちが興味を持つ研究分野は、属性ベース暗号、関数暗号、セキュアマルチパーティ計算、格子暗号の安全性解析、差分プライバシー、高信頼コンピューティングなど、暗号と情報セキュリティにおける様々な分野にまたがっています。 これらの要素技術の研究と、アクセス制御、プライバシー保護型データ解析、高信頼実行環境(Trusted Execution Environment)などの実用的なアプリケーションへの適用と高速実装に取り組んでいます。私たちは、暗号の理論研究と、実世界におけるプラットフォームのセキュリティとの間のギャップを埋めることを主なビジョンとしています。
セキュリティ保証スキーム研究グループ
現代において、機器・システムのサプライチェーンは多様な事業者や多くのフェーズを含み、グローバル化しています。一方、新しいサービス提供が期待されるIoTの急速な普及と共に、不正な半導体部品の潜入等によるモノ自体のすり替えや改ざん等がセキュリティ課題となってきました。セキュリティ保証スキーム研究グループは、関係機関と連携しながら、セキュリティ保証の技術基盤を整備し、評価認証と国際標準化につなげることにより、新セキュリティ技術を迅速かつ確実に製品・システムに搭載することを目指します。具体的には、ソフトウェア/ハードウェアが有する多様な論理・物理インターフェースを高度に利用する攻撃者の観点から、脆弱性を網羅的に分析・評定することにより、攻撃類型を集約します。その上で、製造者が満たすべきセキュリティ要件の導出方法及び評価機関が実施する脆弱性評価方法のそれぞれに関し、技術的および手続き的に検討します。これらを通じて、チップベンダからアプリケーション供給者まで複数のレイヤーが関与する様々なIoT分野に適したセキュリティ保証スキームの研究開発に取り組んでいます。
ハードウェアセキュリティ研究グループ
交通、通信、情報、ライフラインなど私たちの生活に欠かせないさまざまなシステムは、ひとたび不具合が生じるとその影響は計り知れず、意図的に不具合を生じさせようとする試みも多数発生しています。このような脅威へのセキュリティ対策はシステムのさまざまな階層でとられていますが、最終的に情報を処理するのは常に物理層(ハードウェア)であり、セキュリティ対策の基点(起点)として必ず信頼のおけるハードウェアが存在しなければなりません。当研究グループは、サイバーフィジカルシステムにおいて信頼の基点たりうるハードウェアの実現を目的としています。具体的研究課題として、偽造や複製が物理的に困難なデバイスを実現する技術、暗号処理などのセキュリティ機能を効率的に実装する技術、半導体上に実装される回路のセキュリティを強化する技術、ハードウェアのセキュリティレベルを評価する技術などに取り組んでいます。大学や産業界とも連携して、ハードウェアセキュリティの研究を推進しサイバーフィジカルシステムのセキュリティの向上に貢献します。