(一般社団法人)電子情報通信学会 業績賞受賞
業 績:『剰余系表現(RNS)を用いた公開鍵暗号の実装に関する先駆的研究』
受賞者:川村信一(産総研)、小池正修(東芝)、駒野雄一(東芝)
業績の概要
--- 暗号の処理を効率よくするための整数表現を研究 ---
情報化社会のセキュリティの実現には、暗号技術の利用が不可欠です。
多くの暗号は巨大な整数で構成されているためその効率的な計算方法が必要です。
本研究では、剰余系(RNS)という並列計算に適した整数表現を用いることで、従来の、二進数表現よりも効率の良い計算法を開発しました。
近似計算を導入することで、それまでRNSでは効率よく計算できなかった、
(1)大小比較と、
(2)割った余りを求める計算
ができるようにしたのが最大のポイントです。
その結果、RNSを用いて公開鍵暗号を処理するという新しい研究分野が生まれ、効率の良い暗号処理方法の提供で社会のセキュリティ向上に貢献しました。
6分間解説ビデオ
外部リンク
https://www.ieice.org/jpn_r/awards/gyosekisho
関連する論文
(1) S. Kawamura, M. Koike, F. Sano, and A. Shimbo, “Cox-rower architecture for fast parallel Montgomery multiplication,” EUROCRYPT2000, Lect. Note Comput. Sci., vol. 1807, Springer, May 2000.
(2) H. Nozaki, M. Motoyama, A. Shimbo, and S. Kawamura, “Implementation of RSA algorithm based on RNS Montgomery multiplication,” CHES 2001, Lect. Note Comput. Sci., vol. 2162, Springer, Sept. 2001.
(3) H. Nozaki, A. Shimbo, and S. Kawamura, “RNS Montgomery multiplication algorithm for duplicate processing of base transformations,” IEICE Trans. Fundamentals, vol. E86-A, no. 1, pp. 89-97, Jan. 2003.
(4) S. Kawamura, Y. Komano, H. Shimizu, and T. Yonemura, “RNS Montgomery reduction algorithms using quadratic residuosity,” Journal of Cryptographic Engineering, vol. 9, no. 4, Springer, Nov. 2019.
(5) S. Kawamura, Y. Komano, H. Shimizu, S. Osuka, D. Fujimoto, Y. Hayashi, and K. Imafuku, “Efficient algorithms for sign detection in RNS using approximate reciprocals,” IEICE Trans. Fundamentales, vol. E104-A, no. 1, pp. 121-134, Jan. 2021