主催:産総研 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター
主催:産総研 サイバーフィジカルセキュリティ研究センター

本シンポジウムは終了いたしました。
ご参加いただいた皆様ありがとうございました。

高機能暗号とそれを支える物理・視覚暗号シンポジウム

2025年3月10日(月)

東京国際フォーラムD7ホール(D棟7階)
参加費:無料

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開催概要

近年、個人のプライバシー情報や企業の機密データを秘匿したまま、これらの利活用を促す技術として、秘密計算、準同型暗号、属性ベース暗号、検索可能暗号、ゼロ知識証明といった「高機能暗号」と呼ばれる一連の技術の重要性が高まっています。その一方で、これらの技術の仕組み・機能・安全性が複雑であるため、どの技術をどのような状況でどのように活用すればよいかを把握することは必ずしも容易でありません。本シンポジウムでは、高機能暗号に関し非専門的な技術者であっても、様々な高機能暗号技術について仕組み・機能・安全性を容易に理解可能とするための説明手法について議論を行います。特に、物理・視覚暗号を説明ツールとして用いた手法について焦点をあて、企業、大学、国研に所属する研究開発者たちがそれぞれの立場から、物理・視覚暗号を利用した高機能暗号の社会展開活動やその効果についての具体例を紹介します。

講演者

花岡 悟一郎

花岡 悟一郎

産業技術総合研究所
秘匿計算による安全な組織間データ連携技術の社会実装
秘密計算は、入力データを秘匿したまま求めたい出力結果だけを得られる高機能暗号技術です。個人のプライバシー情報を秘匿したままユーザーごとの特性に応じた情報サービスを提供したり、複数の企業がお互いの機密データを隠したまま統合的なデータ分析を実行することが可能な技術として国内外で高い注目を集めています。講演者は、JST-CREST、JST-AIP加速課題等を通じて、すでに複数の企業との連携のもと、秘密計算の社会実装を顕著に推進しています。その際、各ステークホルダーが「データを隠したままデータ処理を実行可能」とする仕組み・機能・安全性を容易に把握できる説明ツールとして視覚秘匿マッチングを開発し、それを用いたショートドラマを作成したので、その背景や効果について紹介します。
酒見 由美

酒見 由美

GMOサイバーセキュリティbyイエラエ
Missing linkの打開策! 高機能暗号が創出する未来
現代社会では、企業などの組織がDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ばれる業務プロセスや組織情報のデジタル化やIoT機器からの多種多様なデータから、これまで得られなかった価値を創出するため、AI/機械学習などのデータ利活用が進められています。一方で、データの中には、個人情報や企業秘密などの機微情報があり、抽出されたデータをそのまま利用することが困難という課題があります。本講演では、その課題を魔法のように解決する高機能暗号技術について紹介します。また、これまでの体験を踏まえて、この技術を普及する上での課題感や事例についてお話します。
水木 敬明

水木 敬明

東北大学
秘密計算の社会実装に向けたカードベース暗号の活用
カードベース暗号は、トランプのようなカード組を使って、秘密計算やゼロ知識証明等の暗号機能を手軽に実現するものです。例えば、大学のオープンキャンパスにおいてカードベース暗号を題材として用いると、高校生をはじめとする一般市民の皆様は、秘密計算の機能や意義をすぐに理解してくれます。取っ付きやすさの向上のため、大学の授業や教科書でカードベース暗号が取り入れられているケースもあります。また、NTTドコモの展示会にて秘匿クロス統計技術の説明の導入にカードベース暗号が使われました。本講演ではこれらの事例を紹介します。企業の皆様によるカードベース暗号の説明ツールとしての活用が増えることを願っています。
矢内 直人

矢内 直人

Panasonic株式会社
人に伝わる技術を目指して
暗号技術は私たちの生活に欠かせない技術であると同時に、これからの情報化社会を担っていく技術でもあります。しかしながら、暗号技術自体は我々の目に直接触れられるものではなく、詳しくない人から暗号技術の説明をされたとしても、容易に納得がいくものではありません。本講演では講演者が取り組んでいる次世代の暗号技術の研究開発を紹介するとともに、暗号技術に興味が持てるような技術的動向について紹介します。とくに講演者のこれまでの研究活動を踏まえて、これから我が国の研究開発における重要な観点として、人が理解できる技術という観点から講演します。
外園 康智

外園 康智

株式会社野村総合研究所
高機能暗号による金融・不動産業の課題解決の試み
野村総合研究所では、秘密計算を使った、不動産売買マッチングや金融データ分析サービス企画をしております。ユーザー企業へサービス紹介時に、暗号技術の説明も添えますが、数式よりも、物理・視覚暗号を使った説明が効果的でした。高機能暗号の社会実装の現状と課題を具体的な事例でご紹介します。
品川 和雅

品川 和雅

茨城大学
高機能暗号技術のデモンストレーション
難しい概念を理解する手助けとして、アナロジーは有効な手段です。例えば、公開鍵暗号のアナロジーとして南京錠があります。閉めることは誰でも簡単にできるけれど、開けることは鍵の所有者しかできないという性質が、公開鍵と秘密鍵に対応しているというわけです。それでは、公開鍵暗号よりも複雑な高機能暗号技術のアナロジーはどんなものになるでしょうか。本イベントの最後を飾るデモンストレーションセッションでは、秘密計算と検索可能暗号という二つの高機能暗号技術のアナロジーを紹介します。ぜひ体験してください。

プログラム

14:00-14:10
ごあいさつ
松本 勉(産業技術総合研究所)
14:10-14:30
開催の趣旨について
花岡 悟一郎(産業技術総合研究所)
14:30-14:50
秘匿計算による安全な組織間データ連携技術の社会実装
花岡 悟一郎(産業技術総合研究所)
14:50-15:20
Missing linkの打開策! 高機能暗号が創出する未来
酒見 由美(GMOサイバーセキュリティbyイエラエ株式会社)
15:20-15:35
休憩
15:35-15:55
秘密計算の社会実装に向けたカードベース暗号の活用
水木 敬明(東北大)
15:55-16:15
人に伝わる技術を目指して
矢内 直人(Panasonic株式会社)
16:15-16:35
高機能暗号による金融・不動産業の課題解決の試み
外園 康智(株式会社野村総合研究所)
16:35-16:55
高機能暗号技術のデモンストレーション
品川 和雅(茨城大)
16:55-17:00
閉会の挨拶
岩本 貢(電気通信大)
17:00-17:30
デモセッション

会場案内

東京国際フォーラムD7ホール(D棟7階)

〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1

JR線「東京駅」丸の内南口より徒歩5分

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